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小 説

『半夏生の頃』立花れい香の日記 【中学生編】4.思春期 ②

小 説

【中学生編】4.思春期 ②

新しい学校、新しいクラス。

私の秘密を誰も知らない新しい場所での毎日は意固地な心を解放してくれた。

それでも必要以上に人と関わるのは苦手なままだった。

ゴールデンウィークが終わる頃にはクラスの仲良しグループは大体でき上がっていて、私はどのグループにも入れてもらえず一人でお弁当を食べていた。

お弁当と言っても昨日の夕飯の残り物を自分で適当にお弁当箱に詰めただけなのであまり他の子には見られたくなかった。

同い年の女の子達とどうでもいいような話をしてワイワイふざけたりするのは好きじゃなかったし「仲間外れにされてちょうど良かった」と思うことにした。

お弁当を食べ終わるとさすがに居心地が悪くて私はさっさっと図書室に向かった。

読書に没頭している時間だけは虚しい現実を忘れられた。

私は部活動にも委員会にも入らなかった。

実家を離れた今、工場の仕事を手伝わなくても良いので前よりは時間があるのだけれど、おばあちゃんに家事全般をさせるのは申し訳ないので買い物とご飯の支度は私がすることにしていた。

ここでは「仏頂面するな」とか「陰気」だとか「キチガイ」だとかいちいちお母さんに嫌味を言われないで済むし、酔っぱらったお父さんにいつ包丁を投げつけられるかとビクビクしないでいられる。

私にとって自由そのもので心から伸び伸びできた。

小学生の頃に憧れた夢のような暮らしとは少し違ったけれどそれでもここは天国のように思えた。

やっと手に入れた静かで平和な日常を失いたくなくて、私はできるだけ目立たないように人に注目されないように無口で無愛想な子、として無味乾燥の中学校生活を送っていた。

二年生になると同級生の女の子達にとって、誰が好きとか、誰と誰が付き合っているとか、あの子はもうキスしたらしい??とか、異性の話題が一番の関心事だった。

私もそういう会話に加わって悩みを打ち明け合ったり冷やかし合ったり、恋の話をしてみたかったけれど、必要以上に仲良くなればいつかあの事を隠し続けていられなくなる気がして、他人と一定の距離を置くのが自然と癖になっていた。

同じクラスのD君は背が高くて格好良くてスポーツ万能で成績も中の上くらいで女子達に絶大な人気があった。

日に焼けた小麦色の肌と、サラッサラの茶色ががった髪。

笑うと口角がキュッと上がってエクボが浮かぶ、八重歯がやたらとカワイイ笑顔。

鼻筋が通ったキレイな横顔、透き通った薄い瞳の色。

偶然目が合うと、くっきりと深く刻まれた幅広の二重瞼から目が離せなくなる。

私だってD君が好きだし仲良くなりたい。

でも自分から告白するなんてあり得ない。

告白して、もしも上手くいったとして、いつか性的な関係になったりしたら私が処女じゃないことがバレてしまうかもしれない。

あのことを知られてしまったら絶対に軽蔑される。

嫌われるくらいなら友達でいたほうがまだマシ。

そう思うとD君に話しかけられてもわざと素っ気なくしてしまうことが多かった。

それでもD君とは席が隣同士だったので、宿題を見せ合ったり漫画やレコードを貸し借りしたりするうちに徐々に親しくなっていった。

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